日本のモダン・ダンス界の第一人者、アキコ・カンダ。かつて羽田澄子監督は、まさに円熟期を迎えた40代のアキコがダンスに生きる姿を、ドキュメンタリー映画「AKIK O-あるダンサーの肖像-」(1985)に収めて、文化庁芸術作品賞受賞等、高い評価を得た。
若くして渡米し、巨匠マーサ・グラームのもとで徹底的に身につけた踊りの身体を基礎として、独自の表現を見出してきたアキコ。そんな彼女が年齢を重ね、肉体の衰えに直面するなかで、どのようなダンスを生み出してゆくのか。身体芸術の極みであるダンスにおいてどんな可能性を見せてくれるのか。その行き着く先を記録したい。2010年、羽田監督はふたたびアキコの撮影を始める。
しかし撮影を始めて間もなく、アキコが癌を発症していたことを知る。アキコは2010年秋のリサイタル終了の翌日に入院、退院後も治療を受けながら、ダンスと真摯に向き合い続けた―。そして2011年9月、リサイタル「花を咲かせるために ~バルバラを踊る~」で、彼女は持てる生命を全て尽くして、同月23日に亡くなる。図らずも本作は、ダンスに全てを賭けたアキコの最後の公演記録となった
「生きることは踊ること」と言っていたアキコ・カンダ。羽田監督が、長く親交のあったアキコ・カンダの生涯を辿り、彼女が芸術家として人生を見事に全うする姿を描いた。