高齢化社会における問題を追求した先駆作！

本作は、映画『痴呆性老人の世界』（1986年）で日本の高齢化社会の現実の一旦に向き合った羽田監督が、「安心して老いるためには、介護を必要とする人を支えるどのような仕組みが社会に必要か」というテーマを持ってつくった作品である。

作品の舞台となったのは、岐阜県の池田町。そこで、先進的な介護に取り組む特別養護老人ホーム、サンビレッジ新生苑と、福祉に力をいれようと思い立ち「老人のケアシステムを進める会」を発足させた町の取り組みを追います。福祉のあるべき姿を求めて、池田町の人々とともにデンマーク、スウェーデン、オーストラリアも訪問。そこにはどのような仕組みがあり、介護を必要とする人がどのように暮らしているか。日本との比較の視点も加えて紹介する。

様々なイベントや福祉研修などを行った池田町ですが、それは果たして町のケアシステムを進めることにつながったのか。「この映画を見たことが人々の共通体験となり、自分の地域について、行政について、国の政策について考え、話し合い、『安心して老いるために』何をなすべきかを検討するきっかけにしてほしい」。羽田監督はこのように語る。